カラスに興味を持ちだしたのは10年ほど前、マンションの7階に住んでいた頃だ。向かいには5階建てのマンションが建っていて、屋根の上がよく見えた。南向きのマンションで、窓に直角に机をおき、外を眺める合間に仕事をしていた。
建物の縁に巣があるのか、ある春の日に5羽ほどのカラスの雛がよちよち歩きを始めたのに気がついた。向かいのマンションとはいえ、少々遠いので細かな様子が見えなくて実に残念だったが、望遠鏡を持ち出すと、怪しい人になってしまう。おおっぴらではまずいし、カーテンの影に隠れて観察すればなおさら怪しい。常識ある人間は不自由だ(^^;)。
子ガラスたちが母親ガラスに引率されて屋上をうろうろしているのを眺めていたのだが、ある日発声練習を始めた。中に一羽声帯に異常がある子ガラスがいて、母親に叱られている。甲高い声で、カア、カア、カアとみなが鳴いている中に、グワアというような恐るべき音程のハスキーボイスが混じる。何度やってもカア、カア、カア、グワアだ。
母親がよそ行きの美声で、カアアと声を張り上げるが、グワアとしか鳴けない。そのうち、母カラスの声が変化した。グワアの後すかさず、こう鳴くのだといったらちゃんと鳴けと命令しているような、脅しの入った低めの声でガアと鳴くのだ。どこの世界も親は大変ですなあ。きちんと躾なければ、子供は生きていけないのだから熱も入る。
その後すぐ巣立っていったらしく、お楽しみは消えた。ある日、歩いて5分ほどの所に住んでいた両親宅で、カラスの話をして笑っていたら、外からお馴染みのグワアの声が聞こえてきた。どうやら、カラスはミニ渡り鳥よろしく、数ヶ月おきに居場所を変えて、循環しているようなのだ。しばらくこのハスキーボイスのカラスをひいきにしていたのだが、ここ数年は耳にしていない。一度、顔を見てみたかったのだが。コミュニケーションがとれないで、追放されたのではなく、教育の成果が現れてついに音程のコントロールに成功したのだと思いたい。それとももっと広い世界に武者修行に出たのかも知れない。
建物の縁に巣があるのか、ある春の日に5羽ほどのカラスの雛がよちよち歩きを始めたのに気がついた。向かいのマンションとはいえ、少々遠いので細かな様子が見えなくて実に残念だったが、望遠鏡を持ち出すと、怪しい人になってしまう。おおっぴらではまずいし、カーテンの影に隠れて観察すればなおさら怪しい。常識ある人間は不自由だ(^^;)。
子ガラスたちが母親ガラスに引率されて屋上をうろうろしているのを眺めていたのだが、ある日発声練習を始めた。中に一羽声帯に異常がある子ガラスがいて、母親に叱られている。甲高い声で、カア、カア、カアとみなが鳴いている中に、グワアというような恐るべき音程のハスキーボイスが混じる。何度やってもカア、カア、カア、グワアだ。
母親がよそ行きの美声で、カアアと声を張り上げるが、グワアとしか鳴けない。そのうち、母カラスの声が変化した。グワアの後すかさず、こう鳴くのだといったらちゃんと鳴けと命令しているような、脅しの入った低めの声でガアと鳴くのだ。どこの世界も親は大変ですなあ。きちんと躾なければ、子供は生きていけないのだから熱も入る。
その後すぐ巣立っていったらしく、お楽しみは消えた。ある日、歩いて5分ほどの所に住んでいた両親宅で、カラスの話をして笑っていたら、外からお馴染みのグワアの声が聞こえてきた。どうやら、カラスはミニ渡り鳥よろしく、数ヶ月おきに居場所を変えて、循環しているようなのだ。しばらくこのハスキーボイスのカラスをひいきにしていたのだが、ここ数年は耳にしていない。一度、顔を見てみたかったのだが。コミュニケーションがとれないで、追放されたのではなく、教育の成果が現れてついに音程のコントロールに成功したのだと思いたい。それとももっと広い世界に武者修行に出たのかも知れない。